DM効果を最大化する方法は?反応率はどのぐらい?
更新日:2025.05.16
DM(ダイレクトメール)は、デジタル全盛の今だからこそ効果を発揮するマーケティング手法です。
Web広告やメールマーケティングが一般化した現代においても、紙のDMは「目に留まりやすい」「手元に残る」「記憶に残りやすい」といった強みから、再び注目を集めています。
この記事では、DMの基本的な効果から、反応率を上げるための具体的なテクニック、さらに費用対効果を見極める指標や成功事例まで、実践的な視点でその効果を解説します。
DMを使った販促施策を検討している方や、これまでのDMに満足していない方にとって、改善と成功のヒントになれば幸いです。
目次
DM発送前のプランニング(コスト計算、BEP、LTV). 6
DMの効果
DMのメリット
ダイレクトメール(DM)は、ターゲットに直接アプローチできるマーケティング手法として、多くの企業で活用されています。中でも紙のDMは、受け取り手の手元に残りやすく、記憶にも定着しやすいという特長があります。
電子メールと比較しても、開封率・反応率ともに高い傾向があり、特に高齢層やITリテラシーが高くない層に対して有効です。
また、DMは新規顧客へのアプローチだけでなく、既存顧客との関係構築や休眠顧客の掘り起こしにも活用できます。
紙媒体を活かしたデザインや素材の工夫により、ブランドの世界観を伝えやすいのも利点です。
さらに、パーソナライズされた内容で送ることで、受け取る側に「自分ごと」として認識されやすく、アクションが起こる可能性が高まります。
DMと他マーケティング手法の比較
現在主流のマーケティング手法には、Eメール、SNS、WEB広告などのデジタルチャネルがあります。
WEB媒体は配信コストが低く、大量送信が容易な反面、情報が埋もれて開封率が低くなりがちです。
実際、Eメールの平均開封率は業種によって異なりますが、一般的には10~30%前後とされています。10通送っても1通~3通しか開封されていない、というのが現状になります。
一方、紙のDMは手に取られる確率が高く、「自分宛ての郵便物」として目に留まりやすいという特性があります。
日本ダイレクトメール協会の調査によれば、自分宛てのDMの開封・閲読率は79.4%と高く、そのうち24%の人が何らかの行動(問い合わせ・購入・資料請求など)を起こしたというデータもあります※。
デジタル広告や情報が氾濫する現代においては、あえてアナログな手法を取り入れることで、他社と差別化が図れるという点でも、「あなた宛て」という特別感を出しアピールできるという点でも、紙DMの活用は再評価されています。
※一般社団法人ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2023」より
https://www.jdma.or.jp/upload/research/20-2024-000027.pdf
DMの効果を最大化するための要素
ターゲットをしぼる
DMの効果を上げるためには、まず「誰に届けるか」が重要です。
DMのターゲットを意識せずやみくもに大量に送るのでは、メールマガジンの送信とあまり変わらなくなってしまいます。
企画したDMに対して、購買履歴や年齢、地域、職業などのデータを活用し、送付ターゲットを明確に絞り込むことが、コストパフォーマンス面でも優れたDMを作るための第一条件となります。
また、パーソナライズされたメッセージは共感や興味を生みやすく、開封率や反応率の向上にもつながっていきます。
ターゲットの絞り込み精度が高いほど、内容が受け手のニーズと一致し、購買や問い合わせといったDMに対してのアクションへつながる確率が高くなります。
リストの質とセグメント設計が、DM成功の鍵を握る要素といえるでしょう。
送付タイミング
DMを送るタイミングも、成果に大きく影響します。
たとえば、季節商品やイベント情報を案内する場合は、需要のピークよりも少し早めのタイミングで送付することで、ターゲットに対して計画的な行動を促すことができます。
また、顧客のライフスタイルや行動パターンを把握しておくことも重要になります。週末にじっくり郵便物を読む人が多い場合、金曜日の発送が効果的ということもあるでしょう。
ターゲット層に合わせた送付タイミングの最適化は、DMの反応率を上げるためのひとつのポイントです。
開封率向上のコツ
どれだけ中身に力を入れても、まず開封されなければDMの効果はありません。
開封率を高めるためには、まず「第一印象」を工夫することが必要です。
たとえば、封筒やはがきのデザインに目を引くキャッチコピーを入れたり、手書き風フォントや宛名ラベルを使用したりすることで、特別感を演出できます。
また、「あなた宛て」であることを明確にすることも、大切になってきます。
自分宛てであるDMの方が開封率は高く、反応も得やすいことは、前述した統計からも明らかです。
いかに自分事であるか、自分にとってお得であるかを、DMを手に取った瞬間に印象付けることが重要になります。
それに加えて、素材感や厚みといった「触覚」へのアプローチも、開封を促す要素のひとつになります。
サンプルなどの封入を行えばターゲットの目に留まりやすくなり、手に取った時の感触から開封率も効果的に上げることができるでしょう。
関連記事: 「DM開封率はメールよりも紙。開封率を上げるコツ」
反応率は1%以上を目指す
DMの反応率の目安として、一般的に「1%」がひとつの基準とされています。
一見すると低いように感じるかもしれませんが、ターゲットを適切に絞った上での1%は、費用対効果が徐々に出てくる数字となります。
たとえば、1,000通のDMを送って10人が資料請求や問い合わせをしてくれれば、その中の数件が成約につながる可能性があります。
逆に反応率が1%に届かないDMは、何かしらの決定的な欠点があると考えることもできます。
商材の単価やコストによっても目指すべき反応率は変わってきますので、まず基準の1%を目指しながら、改善を重ねて反応率を向上させていきましょう。
反応率を上げるためには、内容の明確化・デザインの工夫・CTA(行動喚起)の明示といった要素をバランスよく取り入れることが必要になります。
ただし、DMの効果はすぐに表れない場合もあります。
受け取った情報が記憶に残り、数週間後や数ヶ月後にアクションにつながるケースもあるため、長期的な視点やデータの蓄積も必要です。
関連記事: 「DM営業で成功するための具体的ステップと注意点」
DM発送前、発送後の効果測定方法
DMは、送って終わりではありません。
DM効果を最大化するには、事前の入念なコスト計算と目標設定、そして送付後の効果検証が不可欠です。
こちらでは、DMの費用対効果を正確に評価するために欠かせない、各種指標や具体的な測定方法を紹介します。
重要な指標:BEP、LTV、CPR、CPO
DM施策の効果を定量的に測定するためには、以下の4つの指標が特に重要です。
・BEP(損益分岐点):
DM施策にかかったコストを回収するために必要な最低限の受注数を示す指標です。費用対効果を判断する基準になります。
・LTV(顧客生涯価値):
1人の顧客がもたらす長期的な利益の総額を示します。初回の注文だけでは測れない顧客の価値を見積もるのに役立ちます。
・CPR(Cost Per Response):
1件のレスポンス(問い合わせ・資料請求など)を得るために必要な費用です。反応の質と量を測る上で有効な指標です。
・CPO(Cost Per Order):
1件の受注にかかるコストを示し、売上に直結する効率性を把握できます。
これらの数値を組み合わせて見ることで、DM施策の全体的な費用対効果を把握できます。
DM発送前のプランニング(コスト計算、BEP、LTV)
DMを発送する前に、まず必要となるのが「コストの全体像を把握すること」です。
具体的には、以下の費用をすべて含めてコストを算出します。
- 制作費(デザイン・ライティングなど)
- 印刷費
- 封入・発送準備費(人件費含む)
- 配送費(郵送・宅配など)
この合計金額が、DM施策全体の“総コスト”となります。
この総コスト額をしっかりと把握し、どのぐらいの反応率があればDMは成功と言えるのか、事前に数値を算出し目指すべきプランを立てることが大切です。
【BEP(損益分岐点)】
BEPは、以下の式で求められます。
BEP(必要受注件数)=総コスト ÷ 粗利単価
たとえば、総コストが100万円で、1件あたりの粗利が5,000円であれば、100万円 ÷ 5,000円 = 200件の受注が必要という計算になります。
【LTV(顧客生涯価値)】
LTVは、以下の式のいずれかで算出できます。
1: 顧客の年間取引額 × 収益率 × 継続年数
2: 平均購入単価 × 平均購入回数
3: (売上高-原価)÷ 購入者数
LTVを把握しておくことで、「初回の購入が赤字でも、長期的に利益が見込めるか」という判断材料になります。
DM発送後の効果測定(反応率、CPR、CPO)
DMを送付した後は、どの程度反応があったのかを数値で確認する必要があります。
主に以下の指標で評価します。
【反応率(レスポンス率)】
反応率は、DMを受け取った人のうち、どれくらいが反応したかを示す割合です。
例えば、1万通送って500件の問い合わせがあれば、反応率は5%です。
反応率(%)= レスポンス件数 ÷ 発送件数 × 100
【CPR(Cost Per Response)】
CPRは、レスポンス1件あたりのコストを表します。
CPR=総コスト ÷ レスポンス件数
たとえば、100万円かけて1,000件のレスポンスがあれば、CPRは1,000円になります。
【CPO(Cost Per Order)】
CPOは、実際の受注1件あたりにかかったコストです。
CPO=総コスト ÷ 受注件数
受注数が200件で総コストが100万円の場合、CPOは5,000円となります。
このように、反応率が高くても受注につながっていなければ、費用対効果は低くなることがあります。逆に反応数が少なくても高単価商品で利益が出ていれば、成功と言えることもあります。
実例と計算方法
具体的なケースを見てみましょう。
DMケース例:
- 総コスト:200万円
- 粗利単価:4,000円
- 発送数:20,000通
- レスポンス件数:1,200件
- 受注件数:400件
この場合、各指標は以下のように算出されます。
- BEP: 200万円 ÷ 4,000円 = 500件(この受注数があればコスト回収できる)
- 反応率: 1,200件 ÷ 20,000通 × 100 = 6%
- CPR: 200万円 ÷ 1,200件 = 約1,667円
- CPO: 200万円 ÷ 400件 = 5,000円
この例では、反応率がとても高く、BEPの500件に対して受注数が400件とやや届いていませんが、今後のLTVが高ければ十分に効果的なDMが送れたと評価できる施策と言えるでしょう。
計測から改善へ、効果的なDMを実現
DMの効果測定は、単なる結果の確認で終わらせず、次のアクションへつなげてこそ意味があります。
反応率やCPR、CPOなどの指標をもとに現状を把握したら、そこから得られたデータを活用して改善策を講じることで、効果的なDMが完成していくのです。
たとえば、ABテストを行ってデザインや文面の違いによる反応の変化を検証することで、より効果的な表現を見つけ出すことができるでしょう。
また、QRコードを活用すれば、アクセス経路や滞在時間といった詳細なユーザー行動も把握可能になり、オンライン施策との連携もスムーズに行えます。
こうしたデータ分析の結果を次回のDM企画に反映することで、PDCAサイクルが回り、少しずつでも確実に反応率を向上させることができます。
DM施策は「一度送って終わり」ではなく、「計測・分析・改善」という一連の流れを継続的に行うことで、初めて費用対効果の高いマーケティング手法へと進化していきます。
一度の発送で効果が薄かったからといって、DMを辞めてしまうとマーケティングの最大化もそこで止まってしまいます。改善を続け、より効果的なDM施策を実現していきましょう。
DM効果を測定!成功事例の紹介
ここでは、効果測定を取り入れたDMの実例をご紹介します。
QRコードログ取得システムDM
DMにQRコードを入れ込むことで、DMの効果測定を簡単に行うことができます。このDMでは、お客様の毎にQRコードを発行し印刷を行うことで、反応率の集計だけでなく、どのお客様から反応があったのかを集計することができました。
長期的にLTVを高めていくためにも、どのタイミングでどのお客様から反応があったのか、詳細を記録し集計できることは、DM販促施策において最大のメリットと言えます。
■詳細はこちら:
https://www.fmdb.co.jp/products/1326/
その他のDM施策も多数
このほかにも、ターゲットや商材に応じたDMを企画・制作することで、開封率や反応率が向上し、効果的なDMを送ることが可能です。
DMは「ただ送るだけ」のツールではなく、設計次第で大きな反響を得る販促施策へと変わります。
効果的なDM制作や、指標の計測などにお悩みの方は、ぜひプロのサポートをご活用ください。
■DM作成、送付の参考資料:
https://www.fmdb.co.jp/document/
まとめ
DMは、正しく設計・実行すれば、デジタル施策に負けない高い効果を生み出すマーケティング手法です。
特にターゲットの属性やニーズに合わせて内容やタイミングを最適化すれば、反応率1~3%、場合によっては5%を超える効果を上げることも可能でしょう。
Web広告やメールマーケティングの平均クリック率(0.1~0.5%程度)と比較しても、いかに見込み客に届きやすいかが分かります。
とはいえ、ただ送るだけでは効果は期待できません。
DM発送前にターゲットの選定やコンセプト設計を行い、発送後には開封率・反応率といった数値を細かく分析する効果測定がDM成功の鍵となります。
DM発送やテストを繰り返しながら、最適なクリエイティブとターゲットを発見していくことで、DMの費用対効果はどんどん向上していくことでしょう。
感覚に頼らず、数値を基にPDCAを回すこと。それが今のDMマーケティングに求められる姿勢です。
DMは一見古い手法のように見えますが、逆にデジタルに飽和した現代では、人の印象に強く残るマーケティング手段として再評価されています。
戦略的にDMを使いこなすことで、集客・売上アップの効果的な武器になるでしょう。
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